桐山杯二次予選(01/04/23)
蘇耀国七段 対 楊嘉源九段 黒171手まで、黒中押し勝ち

(株)チャイニーズドラゴン新報社のご好意により、同社の「チャイニーズドラゴン」週刊紙上の蘇耀国七段の「私の一手」より転載。囲碁界の若きホープ蘇耀国七段の対戦相手とのエピソードを織り込んだ棋譜をお楽しみください。

初めまして、蘇耀国です。今回より、このコーナーを受け持たせていただきます。
今回から6回にわたって、最近打った、桐山杯二次予選の一局を紹介します。相手は楊嘉源九段です。楊九段といえば、なんといっても、4年前の囲碁界のアイドル知念かおり女流棋聖との結婚でしょう。当時はマスコミにも大きく取り上げられたので、ご存知の方も多いと思います。僕にとっては優しいお兄さんのような存在です。日本に来た頃は、人付き合いの面でも、本当にお世話になりました。

この手合いの数日前に、山田規三生八段を始め、佃亜紀子四段、張豊猷四段、井沢秋乃二段、金賢貞初段と韓国に行き、対抗試合を行いました。日本チームはやや負け越してしまいましたが、それぞれ皆勉強になったと思います。僕もこの経験をバネに今後は頑張りたいと思います。

僕が中学生の時、中国出身と聞いた同級生は、好奇心いっぱいの顔で、いつ日本に来たの?どうしてきた、と質問をしてきました。12歳の時に僕は囲碁の勉強しに来ました。イゴって何?どうすれば勝ちなの?いろんな推測をする中には、想像力豊かな子もいました。「囲碁の石はチョコレートで出来ていて、相手の石を取れば食べられるゲームでしょう?」などといろんな意見を聞く中、僕は知りました。友達の辞典には囲碁という言葉は存在しなかったのです。でも最近は少年ジャンプに連載されている「ヒカルの碁」のお陰で、多くの小中学生や囲碁を知らない人まで、囲碁に興味を持ち始めました。僕は本当に嬉しく思います。

院生の頃は千葉県幕張の、囲碁研修センターという寮で4年間暮らしました。来日してまず驚かされたのが、中国との生活習慣の違いです。見たこともない食品がたくさんありました。納豆などはどうしても食べられない人がいたようです。僕は元々好き嫌いがないので、食事のことで困ったという記憶はありません。
しかし、日本語の難しさには閉口しました。台湾出身の王唯任四段が、そのころ唯一言葉の通じる相手でした。なんとか周囲の人達と会話できるまで、3ヶ月ほどかかったでしょうか。そのころ寮には15人ぐらいの仲間がいて、国籍も様々でした。ドイツ、フランス、ルーマニアなど、欧州諸国から学びに来た人も多く、寮の中はいつもにぎやかで毎日が楽しかったです。

家事をするのは、それ程好きではありません。一人暮らしですから、洗濯物やゴミの量もたかが知れているのですが、知らず知らずの内に、10日分以上たまっていることもあり、僕にとっては悩みの種です。そのことを知っていてか掃除のために家に来てくれる友人もいるのです。
でも決して、僕に能力がないと思わないでください。気分を変えたい時、他にすることがない時は、一転、きれい好きになるんです。布団を干して、洗濯もし、トイレ、お風呂、廊下等、全て雑巾がけをします。そして最後に碁盤をみがき終わって、部屋の中を眺めると「誰の家だ、ここは!」って感じですごく気分がいいです。

5月28、29日の2日間、大阪で韓国チームとの対抗試合がありました。僕も参加しましたが、日本チームは大幅な負け越し。残念だったです。しかし、負けは負け、次の機会にはきっと・・・・。
碁の話はさておき、すごく面白いことがあったんです。29日は、韓国の安達勲四段の誕生日。日本チームでケーキを買ってお祝いしました。その時、韓国チームのまとめ役、金成龍七段が突然立ち上がると、ケーキを安四段の顔にペチャ! 安四段も反撃、結局2人で生クリームだらけの記念写真となりました。文字通り体を張ったパフォーマンスをありがとう、金七段。
韓国チームは平均的に年齢が低く、10代の人が多かったです。現時点でのレベルは向こうの方が上だと思います。でもそのことを悲観するのではなく、良い目標ができたと喜べばいい。碁会の未来のためには、そういった考え方が必要だと、僕は感じました。

 

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