碁聖戦予選(01/08/30)
蘇耀国七段(白) 対 武宮正樹九段(黒) 白247手まで、白1.5目勝ち

(株)チャイニーズドラゴン新報社のご好意により、同社の「チャイニーズドラゴン」週刊紙上の蘇耀国七段の「私の一手」より転載。囲碁界の若きホープ蘇耀国七段の対戦相手とのエピソードを織り込んだ棋譜をお楽しみください。

今回は武宮正樹先生との一局を紹介します。みなさんにとって、武宮先生といえば、やっぱり宇宙流でしょう。地を先に取るよりも、碁盤を広く使って打つのが、武宮流です。この対局は8月30日に打たれた碁です。今年の初めに、僕は武宮先生と1回手合わせしました。今回は2回目の対戦となります、1回目の時は僕の黒番で、序盤から失敗を繰返し、最後までチャンスらしいチャンスがなく、武宮先生の前に完敗でした。今回は僕の白番で開始しました。前回は武宮先生の、自分の得意の黒番をもっても、手も足も出なかったので、前みたいに緊張せず、自分の打ちたい所に、気楽に打っていこう思いました。

武宮先生は囲碁が強いだけでなく、カラオケやゴルフもとてもうまいです。僕から見れば、何でもうまくこなしてしまう感じです。日常生活の範囲が広いだけ、碁の考え方は、局部戦よりも、大局観の方を得意としています。武宮先生だけでなく、先生の長男の陽光君とは長い付き合いです。院生の時からずっと一緒にプロを目指していました。対局数ももう何十回となく打っているでしょう。やっぱり、棋風はお父さんにすごくよく似ています。ヨセはたまに甘くなることもあるものの、形や大局観がとっても優れています。彼も碁だけでなくお父さんと同じく、日常のことはなんでもうまくやっています。まず、話が上手。そしてその他にも、カラオケ、スキー、卓球、ボウリング、ビリヤードなど、どんなことでもうまくできます。僕はそれを見て、いつも感心しています。

あまり気が付かないうちに秋が来て、気温も一日ごとに寒くなって来ました。僕は寒い天気がとっても苦手です。気温が下がるほど、家からまったく出なくなります。僕は普段外食ばかりなので、食事の回数もかなり減ってしまいます。親はそういう僕を知っていて、冬になったら、毎年のように僕の日常生活の面倒を見に来ます。1年の中で、両親とゆったり過ごせるのはこの2、3週間だけです。毎年のように、両親と一緒にいる最初の1週間は親が懐かしいし、母のおいしい手料理がいっぱい食べられ、夜になっても1人だけじゃなく賑やかなので、本当に幸せです。でも2週間を過ぎると、必ず親に少し不満を持ち始めます。一人暮らしに慣れている僕に対して、今日何があったのか、これから何をするのか、何でも全て聞いてきます。夜11時を過ぎたら、必ず電気を消し、僕を子供のように寝させます。僕にとっては、なんだか自由を失ったように感じて早く帰って欲しくなるくらいです。でも、3週目になって、両親の帰る時がやって来たら、なぜか悲しくなります。やっぱり、親子は難しいものですね。

食欲の秋です。毎年のように、寒くなってくると僕の周りでは焼肉が人気になり、みんなと食べに行く機会も多くなります。肉が大好物の僕にとっては、願ってもないことです。だけど、今年は少し淋しいですね。狂牛病の問題が起きて、内蔵類はほとんど駄目になったようです。その上、肉まで心配されて、焼肉どころか、牛肉が入っている料理すら、みんなが遠慮してしまいます。焼き肉屋は商売が大変と思いますが、肉が大好物の僕にとっても、かなり苦痛です。牛肉抜きでは、僕は食べても、食べてもお腹がいっぱいにならないのです。友達には、「普段、運動はほとんどしないわりに、食べ物だけはいっぱい食べる」と笑われています。「気を付けないと、22歳で中年太りなんて、お腹が出て、格好悪いぞ」、そう言われてみると、少しは悩んだりもしますが、やっぱり、食べることが好きなのでやめられませんね。

毎週のように、僕は「私の一手」の原稿を書いていますが、今だに1回も休載していません。皆さんから見たら当然と思うかもしれませんが、実際には、僕一人ではとても出来ないことです。陰ではいつも手伝ってくれる方がいます。それは、このコーナーの担当者である大田元子さんです。僕が彼女に掛けた迷惑は数えきれないくらいです。一番印象に残っている1回は、7月の下旬の時です。僕が次の週の原稿を渡してないまま、韓国に試合に出かけて、さらに自分の携帯電話まで韓国のホテルに忘れてきてしまいました。でも、日本に帰ってきてからも、ずっと太田さんには連絡しなくて----。本来の締め切りは火曜日でしたが、その日、たまたま郵便物を見たら、太田さんの原稿催促の葉書が届いていました。すっかり忘れていた僕は、内容を読んでびっくりし、急いで原稿を仕上げ、なんとか、締め切りまで間に合わせました。後になってから言っても可笑しいかもしれませんが、今回の事件は、自分の不注意がすべてでした。本当に心からお詫びしたいと思っています。太田さんの強い責任感のお陰で、原稿が無事に掲載できました。本当にいつもお世話になり、ありがとうございます。

2週間前の日曜日、珍しく張栩君と休みが一緒になったので、彼を誘って、友達5人で西葛西のサウナ湯の里に行きました。湯の里の中には、色んな設備が揃っていて、僕と張栩君のなかなかのお気に入りです。いつものように、僕たちは先に碁盤を借りて、15分くらい碁をした後、卓球をしようと思ったら、今日はたまたま卓球大会ですと言われました。そこで、僕と張栩君は喜んで大会に出ました。大会はJ1とJ2に分かれ、僕たちは初心者向きのJ2に参加しました。1回戦、2人ともかなり緊張して、実力はそれほど出せなかったのですが、結果は大勝! 「おっ、もしかしたら行けるかも」、2人は驚きました。「意外に皆も我々みたいに大したことないかもね」。自信がついたのか、運が良いのか、よく分からないうちに、2人の快進撃は続きます。一緒に遊びに来た他の3人は、この真剣な2人を見て、交流試合なのに、気合入り過ぎでしょう、と呆れ顔でした。結局僕はベスト4で破れ、もう一試合残して、3位になりました。張栩君は決勝進出しましたが、僕と同じ相手に破られ、仲良く2位になりました。試合後、僕は、張栩君と名物のイオン温泉に入って、卓球大会を含め、日頃の疲れを癒し----。小ヨセが続く中、碁は非常に細かいのですが、白の勝ちは確実なものです。局後、僕は自分の勝利に嬉しさがいっぱいでした。とはいえ、僕はまだまだ未熟です。もっと勉強をして、もっとよい碁が打てるように頑張りたいです。

 

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